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CHAPTER 1
香蘭社の理念

伝統とは時代とともに移りゆくもの。
香蘭社は、その時々、人々の要望に応えるものづくりを続けてきました。
佐賀県有田の地に日本初の磁器が誕生した1616年。
初代深川栄左衛門が有田で陶磁器製造を始めた1689年。
そして、八代深川栄左衛門が合本組織香蘭社を設立した1875年。

以来、現在までの長きにわたり窯業に携わってこられたのも、
常に時代に生きる皆さまを想い、過去にとらわれず未来に向かい、素材や製造技術、
新しい表現に果敢に挑戦してきたからに他なりません。

有田色絵磁器の多様な文様を集大成し、有田の伝統様式を一歩前進させた美術品をはじめ、
通信事業の発展に大きく貢献した日本初の磁器製碍子の製造、最新技術を駆使した
ファインセラミックスの開発まで、窯業という分野で3つの事業を展開する香蘭社。

礎となった400余年の歩み、そして「製品の品質を精緻にすること、
形状および画彩は美にすること、製造の費用を抑え原価を安くすること、
名誉を保ち永久の利益を図ること」という創業者たちの不滅の精神を継承しつつ、
これからも日本の技と美の研鑽を積み、万国共通の最高質な製品とサービスで
社会に貢献してまいります。

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CHAPTER 2
香蘭社の歴史

今からおよそ330年前、1689年(元禄2年)に初代深川栄左衛門が、肥前有田で香蘭社の前身となる陶磁器の製造を始めました。

八代深川栄左衛門は、幕末から明治の激動期にかけ、当時の選りすぐりの陶工、絵付師、陶商たちをひとつにまとめ、1875年(明治8年)に合本組織香蘭社を設立。
有田焼の海外輸出にも尽力し、世界各国で行われた多数の万国博に出品。フィラデルフィア万国博覧会での褒状受賞、パリ万国博覧会での金賞受賞をはじめ、その後も数多くの栄誉に輝き、海外でもその評価を高めていきます。

また、磁器製造の高い技術力が認められ、1870年(明治3年)には工部省電信局の要請を受け、日本で最初に磁器製碍子の開発に成功。 我が国の通信、電力事業の発展に大きく貢献しました。

1879年(明治12年)には、九州で最初の法人企業となる香蘭合名会社(現在の株式会社香蘭社)を設立。

1896年(明治29年)宮内省御用達の栄を授かるなど、陶磁器での実績はもちろん、窯業という分野で碍子製品、ファインセラミックスまで3つの事業を通じて社会に貢献しています。
現在、佐賀県西松浦郡有田町に本社・工場を置くほか、岐阜県多治見市にも陶磁器の工場を設け、さまざまなご要望にお応えするものづくりを行なっています。

  • 八代深川栄左衛門

    八代深川栄左衛門
    八代深川栄左衛門

    第七代深川栄左衛門の長子として生まれました。1868年、独占的に行われていた有田焼の海外輸出を、藩への陳情により十枚鑑札に増加させることに成功。自らも貿易商として長崎出島に出店し、外国との直接交渉を始めます。

    1870年には工部省電信局の要請を受け、日本で最初に磁器製碍子の開発に成功。我が国の通信事業の発展に大きく貢献することになります。

    1875年、大量生産時代を迎える時代に、個人経営では発展に限界があること、また翌年のフィラデルフィア万国博覧会への出品を成功させるためには欧米の「カンパニー」に倣った組織が必要であることを痛感し、有田の有志とともに合本組織香蘭社を設立しました。

    1878年のパリ万国博覧会には栄左衛門自身も渡欧、出品した作品は金牌を受賞します。同時に欧州各地の陶業地を視察し、最新の製陶機械一式を購入して帰国。有田窯業の近代化を図りました。

    その後も国内外の博覧会、共進会に出品して多数の賞を受け、有田焼の名声、優秀性は世界の認めるところとなります。

    1879年には香蘭合名会社を設立。これは九州で最初の法人企業であり、現在の株式会社香蘭社です。栄左衛門は57歳でこの世を去りましたが、彼の功績を後世に伝えるため、陶山神社の境内には「深川君之碑」が建てられています。題字は大隈重信によるものです。

  • 社名のいわれ

    易経繫辞上伝同人卦九五の爻辞
    易経繫辞上伝同人卦九五の爻辞
    (香蘭社社名のいわれ)

    明治8年2月21日。川原善八(肥前有田の谷口藍田(らんでん)の塾に学んだ)より手塚亀之助(八代深川栄左衛門と共に合本組織香蘭社を設立したメンバー)に宛てた手紙の中に香蘭社の名前の由来が書かれています。

    易経※に見えたり。
    君子の交わりは、蘭の宝の香りの如し。
    西辞(せいじ)に白泥(カオリン)という。
    香蘭の社と言えば、陶器の会社として万国に通用するなり。
    会社の表記は、蘭の花をまるやかに書きて、
    周囲を白くすれば、雅(みや)びやかにして美也(びなり)。
    ※易経とは、中国の儒教の教典・四書五経のうちのひとつです (上記画像の額に原文が書かれています)。

    要約:
    君子の道は、出でて仕える、退いて野にある。また沈黙を守る、雄弁をふるう、などその表われはさまざまである。しかし、君子たる人々が心を一つにすれば、その力は金鉄をも断ち切る鋭さをもち、その言葉は蘭のごとき香りを放つものとなる。

    明治8年(1875年)、合本組織香蘭社の創業者5名は八代深川栄左衛門を中心にそれぞれが、その技術・英知を惜しむことなく提供しあい、心をひとつにして蘭の花の香りの如く強い結束で結ばれることを誓い合いました。

    また、陶磁器の原料の「カオリン」が「香蘭(コウラン)」と響きが似ていて、陶磁器の会社として 万国に通用するように成長することを願い、“香蘭社”と命名するに至りました。

CHAPTER 3
香蘭社のものづくり

CHAPTER 4
香蘭社の沿革

  • 1616元和2年

    李参平、有田泉山で白磁鉱を発見し、日本で最初に磁器を焼いたと伝えられる。

  • 1689元禄2年

    深川家の祖又四郎(初代深川栄左衛門)、有田で陶磁器製造を始める。

  • 1870明治3年

    工部省電信局の下命により、八代深川栄左衛門、
    磁器による電信用碍子の製造に成功。

  • 1875明治8年

    八代深川栄左衛門らにより、合本組織香蘭社が設立される。
    八代深川栄左衛門
    八代深川栄左衛門
    易経繋辞上伝同人卦九五の爻辞
    易経繫辞上伝同人卦九五の爻辞
    (香蘭社社名のいわれ)

  • 1876明治9年

    フィラデルフィア万国博覧会において褒状を受賞。
    フィラデルフィア万国博覧会褒状
    フィラデルフィア万国博覧会褒状
    染錦双鶴花鳥文沈香壺(明治初期)
    染錦双鶴花鳥文沈香壺(明治初期)

  • 1877明治10年

    大久保利通内務卿より「名誉の章」が贈られる。
    第一回内国勧業博覧会に磁器製低圧碍子を出品、褒状を授与される。
    本組識香閲社設立に対して贈られた『名者の章』
    合本組識香閲社設立に対して
    贈られた『名誉の章』
    明治期以降の碍子類
    明治期以降の碍子類

  • 1878明治11年

    パリ万国博覧会において金賞を受賞。
    1878年パリ万国博覧会で受賞の名誉賞状
    1878年パリ万国博覧会で
    受賞の金賞賞状

  • 1879明治12年

    八代深川栄左衛門、香蘭合名会社設立。

  • 1888明治21年

    バルセロナ万国博覧会において金牌を受賞。

  • 1896明治29年

    宮内省大膳寮より、御用品製造を拝命。
    陶磁器品評会が桂雲寺で開催され、これが現在の有田陶器市の嚆矢となる。

  • 1900明治33年

    パリ万国博覧会において金賞を受賞。
    明治期の図案
    明治期の図案

  • 1908明治41年

    農商務省の指定により、倒焰式大立窯を築造する。

  • 1909明治42年

    アラスカ=ユーコン=太平洋博覧会においてグランドプライズを受賞。

  • 1910明治43年

    日英博覧会においてグランドプライズを受賞。

  • 1913大正2年

    硬質高圧碍子を製造、東京芝浦製作所等に納入。

  • 1915大正4年

    パナマ太平洋万国博覧会においてグランドプライズを受賞。

  • 1928昭和3年

    10インチ懸垂碍子を製作、東京鉄道局に納入する。

  • 1930昭和5年

    リエージュ産業・科学・応用芸術国際博覧会においてグランプリ受賞。

  • 1937昭和12年

    浮遊選鉱方法による硫化鉄除去設備を完成。
    商工省から工業研究奨励金が交付される。

  • 1941昭和16年

    香蘭碍子販売株式会社、香蘭社陶磁器販売株式会社を設立。

  • 1949昭和24年

    昭和天皇陛下行幸の栄を賜る。
    ランダ商人との取引が行われたという香蘭社貴賓室
    オランダ商人との取引が行われたという香蘭社貴賓室

  • 1952昭和27年

    碍子工場、JIS(日本工業規格)表示許可工場となる。

  • 1959昭和34年

    碍子焼成用の重油トンネル窯を建設。

  • 1961昭和36年

    昭和天皇・皇后両陛下行幸啓の栄を賜る。1962年にかけて、碍子工場の大幅な設備近代化を実施するとともに本格的な碍子輸出を再開する。

  • 1967昭和42年

    香蘭社岐阜工場を新設。

  • 1969昭和44年

    皇太子殿下行啓の栄を賜る。

  • 1970昭和45年

    香蘭合名会社を株式会社香蘭社に組織変更。
    電子業界の発展に合わせ、碍子工場内に特殊磁器工場を建設。ステアタイト磁器の生産をはじめる。

  • 1972昭和47年

    高純度アルミナ磁器・ジェムラン(純度99.95%)を開発。

  • 1976昭和51年

    アルミナ磁器製溶鋼連続測温用保護管を開発。
    日刊工業新聞より「76年十大新製品賞」に選定される。

  • 1978昭和53年

    低膨張セラミックス(ウルセラム)を開発。

  • 1979昭和54年

    香蘭社創立100周年を迎える。

  • 1985昭和60年

    BN(窒化ホウ素)の常圧焼結に成功。

  • 1989平成元年

    創業300年を迎える。赤坂美術品工場を新設。

  • 1990平成2年

    香蘭社赤繪町工房を新設。

  • 1991平成3年

    香蘭碍子販売株式会社を香蘭社商事株式会社に社名変更。

  • 1996平成8年

    世界・焱の博覧会が開催される。有田地区会場に磁器製のからくり人形を出品。

  • 1999平成11年

    「高純度・透明石英ガラスの省エネルギー型製造技術の開発」に対し、
    経済産業省より地域コンソーシアム研究開発制度を受託。

  • 2000平成12年

    「常圧焼結による高純度h-BN複合体材料およびその実用化」に対し、
    九州産業技術センター賞を受賞。

  • 2001平成13年

    経済産業省より特許庁長官賞を受賞。

  • 2007平成19年

    1月、株式会社香蘭社、関連会社5社(香蘭社商事株式会社、香蘭社陶磁器販売株式会社、香蘭社陶芸株式会社、株式会社香蘭社赤繪町工房、香蘭建物株式会社)を合併。

  • 2008平成20年

    8月、有田本店ショールーム、大幅な改修を行いリニューアルオープンする。

  • 2010平成22年

    3月、銀座に香蘭社ビルが落成。東京銀座ショールームをリニューアルオープン。

  • 2017平成29年

    12月、経済産業省より「地域未来牽引企業」の選定を受ける。

  • 2019令和元年

    2月、北米最大規模のライフスタイル・ギフト関連見本市
    「NY NOW」に出展した「ピンストライプR 1客カップ&ソーサー」が「Tabletop+Gourmet Housewares」部門で、最優秀新商品グランプリを受賞。
    7月、香蘭社創立140周年を迎える。
    古陶磁陳列館
    古陶磁陳列館

  • 2021令和3年

    1月、赤坂セラミック第二工場を新設。
    7月、新ブランド「by koransha」を立ち上げ。